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今や、ルモーナの民の集落は、多くが壊滅状態と聞く。
ここオルレアにも、避難可能だった民たちが、身を寄せている。
──聖地、オルレア。私たちはここで、その庇護を受けている・・・・。この地に、代々張られ続けている
結界の、庇護を――――。
―――メナルの手記より
「・・・でも、もう・・・・・・。このまま隠れては・・・・・」
オルレアの城内、中庭――。そこに立つ木の下に座っていた彼女は、ひとり呟いた。
陽も随分と傾き、風が冷たくなってきてはいたが、彼女は気にとめる様子もなく、
ぼうっと地面を見つめていた。
そんな彼女の元へ、近づく人影があった。男が1人と、子供が2人。
「・・・ここにいたのか、メナル」
「・・・・・・・・・」
男が声をかけたが、彼女――メナルは気付いていない様だった。
「メナル?聞こえてるか?」
もう一度呼ばれ、ようやく気付いて顔を上げる。
「・・・あぁ、サラマ・・・・・。何か用?」
「何か用?じゃないだろ。また何か考え込んでただろ」
「え・・・・、そんなことは・・・・」
サラマと呼ばれた彼は、呆れた。
ひとつ息を吐き、それから、後ろに立つ2人を示す。
「おまえがそんな風だと、こいつらが不安がるだろ?」
サラマの後ろに目をやると、心配顔の2人と視線がぶつかった。
「あ・・・・。ごめんね、ティンク、ジノン・・・・。心配させちゃったね?でも、何でもないから・・・心配しないで」
メナルは、立ち上がると2人――ティンクとジノンの頭を撫でた。
「ほんとに、だいじょうぶ?」
ティンクが、上目遣いに訊ねてくる。
―――この子には・・・この子の言葉には、何度か助けられた・・・・・。
「ありがとう。本当に、大丈夫よ」
メナルは笑顔で返した。
それを見たティンクも、小さく微笑む。
夕日に焼けた空の下、風が、木々を揺らしながら過ぎ去った。
と、不意にティンクが声をあげた。
「そうだった・・・・!あのね、レイアさんが、みんな集まるように、って」
「レイアが?それで探しに来てくれたのね」
これには、サラマが答えた。
「そうだ。早く行くぞ。遅れたら大目玉だ」
「ふふっ、そうね・・・・」
足を一歩、踏み出した。
――そう、いよいよ始まるのだ。ずっと機会を窺っていた。そして遂に・・・・・・・。
私たちの、最後の、たたかい。
ルモーナの地を守るため、行動を開始するその時が・・・・来た。